卒業式祝辞指導 教諭の訴え棄却


 前任校の卒業式に来賓として出席し、祝辞として「いろいろな強制のもとでも自分で判断し、行動できる力を磨いてください」と述べた東京都立高校の教諭(59)が、「不適切な発言だ」と指導を受けたのは言論・表現の自由の侵害だとして都に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁(篠原淳一裁判長)は27日、教諭の請求を棄却しました。

 判決は、「発言内容は国旗掲揚・国歌斉唱に対する対応は個々の判断にゆだねられる旨を述べているとの疑義が生じ得るもの」で不適切だとの判断をしました。さらに、「指導」は対象者に法的義務を課したり、権利や利益を法的に制約しておらず、「干渉の程度が高いとはいえない」とのべ、合法としています。

 原告側弁護団は「今後も都教委が『不適切』と判断すれば教育公務員の私人としての行為を恣意的に制約しうることになり、表現の自由など憲法上の権利保障を無にするに等しい」と判決を批判しました。

 この判決では、都立高校では「自分の判断で」と言ってはいけないことになります。非常に一面的で、教育の本質をわかっていない判決です。

(被処分者の会会員Y)